クラシックカメラの話題集

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フィルムの話題

フィルムの種類

銀板、湿板、乾板と進歩してきた写真の感光材は、19世紀の末のロールフィルムの発明で頂点を迎えた。ベース材質の進化も伴い、20世紀は銀塩フィルムの時代であったともいえるのだ。そのロールフィルムだが、100年の歴史の中で多種多様の種類が作られた。

21世紀に入り、主役の座をデジタルメモリーに譲った銀塩ロールフィルムは、そのほとんどが姿を消してしまった。残っているのは35mmフィルムと、中判カメラに使うブローニーフィルムぐらいだ。

フィルムの規格は、35mmとかブローニーとか、ベスト判とかボルタ判など様々に呼ばれるが、コダック社の規格、135、120、127,828などの3桁の数字で呼ばれることが多い。135はライカ判、120は中判、127はベスト判、828はバンタム判だ。この3桁の数字に、まったく法則性が無いのはどうしてだろう。

その中で135(ライカ判)、828(バンタム判)、ボルタ判は兄弟ともいえる規格で、3種類ともフィルム巾が35mmである。ライカ判は裏紙が無く24×36mm、バンタム判とボルタ判は裏紙付きで、バンタム判は28×40mm、ボルタ判は24×24mm、または24×36mmの画面を得る。

左から135(ライカ判)、120(ブローニー)、828(バンタム判)、ボルタ判

35mm巾のフィルムより小さいフィルムは、16mm巾の110(ワンテン)や9.5mm巾のミノックス判などがある。いまでは手に入りにくいフィルムだが、ネット上や新宿のマップカメラ、秋葉原のにっしんカメラ、大阪ではカメラのナニワなどで手に入る。特にミノックス判はシャランのクラシックシリーズと共通なので、幾分流通量が多いようだ。

110は13×17mm、ミノックスは8×11mmという小さな小さな画面になる。フィルムの調達より現像などの処理が心配になる。今のところ富士フイルム系のラボで、引き受けてくれているが、大伸ばしは出来ないなど制約が多くなっている。

左:ミノックスBとミノックス判フィルム   右:ペンタックス110と110フィルム


フィルムはどこで買う

お買い得な逆輸入品
東京の秋葉原にヒカリカメラという店がある。昭和通り口を出て、右の公園に面したカラオケビルの隣のビルの駐車場の奥にある。そこでアメリカから逆輸入された35mmフジフイルムが、一本200円で売られている。FUJICOLOR100の36枚撮りだ。使用期限は2012年1月。これはお買い得だ。私はこの店に行くたびに、10本まとめ買いしてくる。2011年4月からヒカリカメラは秋葉原に移転した。

アメリカ逆輸入フジカラー100 日本向けフジカラー100

同じFUJICOLOR100の日本向けは、ヨドバシカメラで630円。3本セットが1,440円。FUJICOLORにはISO400があって、そちらの方が多く出回っているし、価格も安いが、私はISO100を使う。理由は古いカメラには速いシャッタースピードが無いからだ。1/1000は高級カメラにしか付いていない。普通は1/500までだ。晴れの日だと、ISO400ではF8.0以上に絞らないといけない。フィルムの感度をISO100にすれば、2目盛り分絞りを開けられる。ボケ味を出そうとすると、どうしても絞りを開けたくなるのである。

買いにくいベスト判
ベビーローライやベストコダックなどベスト判フィルムを使う人気機種は多いのだが、ベスト判フィルムは手に入りにくい。インターネット上には、販売サイトがあるので手に入れることが出来る。東京恵比寿の大沢カメラは、数少ないベスト判フィルムが購入出来る店だ。

Bluefire Murano Rollei
左は大沢カメラで買ったカラーネガフィルムのブルーファイアー、右はネットで手に入れたローライブランドのカラーポジフィルムである。いずれも1本1000円前後だ。

現像がまた難しい。町のDPショップでもヨドバシカメラのような大規模店でもダメだ。大沢カメラは引き受けてくれる。ネガは自店で現像するからその日の内に出来るが、ポジはラボへ出すので4日ほどかかる。

パック販売のみのブローニーフィルム

ブローニーフィルムも買いにくくなった。ヨドバシカメラなど大規模ショップで手に入るが、5本セットのパック販売だけで、1本買いは出来ない。銀座のミヤマ商会などではバラ売りしてくれる。

ボルタ判、バンタム判のスプールと裏紙

ボルタ判やバンタム判はさらに難しい。しかし、スプールと裏紙さえあれば、35mmフィルムを巻き込めばいいから、ベスト判より簡単かもしれない。取り終わったら、普通のパトローネに巻き直して、DPショップに持ち込めば、現像は簡単だ。ボルタ判のスプールと裏紙は、有楽町のダイヤモンドカメラで手に入る。

バンタム判はアメリカのサイトにカメラがよく出品される。数10ドルと安いが、中にスプールとフィルムが入っていることがある。もちろん有効期限は切れているが、貴重なスプールと裏紙は手に入る。ブローニーフィルムの裏紙を、35mm巾に切り取って、一番上のセミ判の数字を代用するという裏技もある。


フィルムの装填

35mm版のクラシックカメラは、圧倒的にライカ型が多い。それも古い時代のバルナック型と呼ばれるタイプは、構造が合理的でシンプルなため、世界中でまねされた。今で言うパクリだ。パクリは中国の専売特許ではない。日本も盛大にやっていた。旧ソ連などは本家の数倍ものパクリ製品をばらまいていた。驚くことには、イギリスやアメリカでは、ライカそっくりなカメラを、こともあろうに政府主導で作っていたのだ。今の中国を笑える国は無いのである。もっとも戦時中は敵国の特許を侵害しても国際法上は許されるし、ドイツ敗戦後はドイツ所有の特許はすべて失効したから、まあ、合法的と言えば言えるのだが。

元祖ライカとパクリライカ
元祖ライカ(独)
各国が作ったパクリライカ
カードン(USA) リード(英) FED(ソ連) ニッカ(日)


この他、デザインは変えても、内部の機構をライカそっくりにまねしたカメラは、枚挙にいとまがない。キャノンもニコンも、初めはライカのコピー機であったのだ。さて、そんなカメラに共通するのが、フィルムの装填方式である。底蓋着脱式という。慣れるまで、かなり難易度が高いのである。

現在の35mmフィルム 6cmほど切り欠く 底蓋を外して装填

まずフィルムである。昔はライカに合わせてあったから、そのままで良かったのだが、@最近は中央のように少し切り欠かなければならない。Aカメラをひっくり返して、底蓋を外し、フィルムを慎重に装填する。B右のスプールの近くにスプロケットギヤが見える。フィルムを少しずつ巻き上げながら、そのギヤにフィルムの孔が入ったかどうか確かめる。C底蓋を閉めて、巻き戻しノブを回しフィルムのたるみをとる。Dシャッターを切って、巻き上げる。この時、巻き戻しノブが回っていれば、装填は成功である。Eシャッターを2回切って、フィルムカウンターを0に合わせる。

慣れればなんということもないのだが、最初は戸惑う。ライカはその合理的な設計で、世界中で大好評を博したのだが、このフィルム装填だけは評判が悪かった。しかし、ライカがこの方式を改良したのは、30年後のM型ライカからであった。時代は実にゆっくりと流れていたのだ。


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