クラシックカメラの話題集

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謎のバンタム判 828フィルムの秘密 Bantam  BantamSpecial Pony Photavit Coronet    
バンタム判とボルタ判
コダックに828というフィルムがある。35mm巾で8枚しか写せないフィルムで、裏紙付きである。なんとなくボルタ判の雰囲気に似ているので、比べてみた。スプールの形状が違うだけで、ほとんど同じように見える。このフィルムはバンタム判とも呼ばれ、コダックはバンタムシリーズのカメラを、1935年から次々に世に送りだした。いずれも小型で軽く、デザインが秀逸なのが特長である。

上:ボルタ判  下:バンタム判

フィルムを広げて比べると数字と数字の間隔が、ボルタ判の10枚撮りよりわずかに広い。撮れる画角はボルタ判が24×24、バンタム判は28×40だ。だから135フィルムをバンタム判の裏紙につけて撮ると、パーフォレーションの孔までかかってしまう。しかし、細かいことを言わなければ、ほとんど同じと見て良い。だから、ボルタ判と同じように、現行の135フィルムを裏紙と共に巻けば、バンタム判のカメラで写真が撮れる。

          (フィルムの作り方はボルタ判を参照)

バンタム判の裏紙とスプールを見つけるのは難しいが、ヤフーオークションやeBayなどで根気よく探せば見つかる。特にアメリカのサイトには、コダックのバンタム判カメラが多く出品されるようだ。価格も10ドル、20ドルだから、配送料を払っても懐には優しい。

究極の裏技 ブローニーの裏紙を流用

どうしても見つからない場合、究極の裏技をご紹介しよう。まだ、手に入る120ブローニーフィルムの裏紙を利用する方法だ。

上は828バンタム判、下は120ブローニーフィルム
写真は、828と120の裏紙を、並べてみたところである。120には画面フォーマットの違いによって、上から6×4.5(セミ判)、6×6、6×9と3種類の数字が並んでいる。バンタム判の横幅は40mmだから、一番上のセミ判の数字を使えば、流用出来そうだ。120の裏紙の上から35mmのところで、カットすれば828の裏紙が作れるはずだ。画像と画像の間隔が少し開くぐらいで、使えそうだ。


120を35mm巾にカット 828用のスプールに巻く セミ判の数字位置がぴったり
ドンピシャリと見事に成功した。セミ判の数字が、バンタムカメラの裏窓からぴったり確認出来る。この裏紙に135フィルムを巻き込んでやれば、もしかすると、8枚以上12枚ぐらいは撮れるかもしれない。


バンタム オリジナル (1935年)
Bantam original F6.3+Kodak Anastigmat 53mm F6.3
コダックは1935年からバンタム判用のカメラを次々に出してくるが、写真のカメラはその最初のモデルで、レンズはF6.3、シャッターはTとIだけ、ファインダーは固定型である。黒塗りのベークライト製だが、塗装の質が良く、安っぽいイメージはない。折りたたむとポケットに入ってしまうほど小型にまとめてある。

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2匹のノラ 女神像
さすがにカラーは苦手のようだ。モノクロ処理をしたら、結構雰囲気が出た。


バンタム F5.6 (1938年)
Bantam F5.6+Kodak Anastigmat 50mm F5.6
2代目はレンズの明るさ等によって数種類のモデルがあるが、これはその中の比較的高級なモデルで、レンズはF5.6、シャッターはT、B、25、50、100。距離ヘリコイドがついて1mまでの近接撮影が出来る。ファインダーは折りたたみ式になった。

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開店準備 巣鴨名物
シャッターは最速で1/100、レンズはF5.6だから限界はあるが、明るい晴天ならちゃんとした写真が撮れる。70年以上昔のカメラとは思えない。色も美しい。

バンタム F4.5 (1938年) 
 
 Bantam f4.5+Kodak Anastigmat 47mm F4.5
最高級モデルでボディーは金属を採用、6角形のシャープなデザインは高級感にあふれている。シャッターは1/200が追加されボディーレリーズになった。ファインダーは折りたたみ式だが、レンズが入っていて見やすい。コダックアナスチグマット47mmF4.5は、スペシャルと名付けられて、エクターと並ぶコダックの名レンズと言われている。

 
大島桜 一葉

2015年は寒暖の激しい春であったが、桜は平年より1週間ほど早く咲いた。4月12日の新宿御苑は、ソメイヨシノの喧噪が終わって、清楚な大島桜と、絢爛豪華な一葉が妍を競うように咲き誇っていた。

フラッシュ バンタム (1947年)
Flash Bantam+Anastar 48mm F4.5
戦後生まれのバンタムカメラで、金属製のしっかりとしたボディー。戦前のバンタムF4.5の継承機だが、デザインは6角形から楕円形に変更されている。シャッターはシンクロ接点が追加された。大変人気があって数多く生産されたモデルで、市場での流通量も多い。


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善光寺にて 門前町
AJCCの先輩諸公と長野の善光寺に出かけた。残念ながら本殿は工事中だったが、裏庭は紅葉が始まっていて、そここに撮影ポイントはあったのだが、初めてのバンタムカメラは気難しくて、思ったような写真が撮れなかった。


バンタム スペシャル(1936年)
Bantam Special+EKTAR 45mm F2.0
コダックのバンタムシリーズの頂点に立つバンタムスペシャルである。この美しいデザインはウォルター・ティーグのデザインといわれ、黒のエナメル塗装、印象的な銀色のライン、アールデコ風の流線型は、非常に個性的だ。1936年(昭和11年)の発売だが、時代を感じさせないモダンな雰囲気を漂わせている。

実はこのカメラで写真を撮りたくて、バンタム判のフィルムを作ることを思い立ったのだ。レンズはコダックが誇る銘玉エクターだし、シャッターはドイツデッケル社のコンパーラピッドだ。デザイン、機能、性能とも申し分ない高級機なのである。

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レトロな看板のある風景 荒川電車
レトロなカメラでレトロな風景を撮りたくて、荒川電車に乗りに行った。びっくりするほどよく写る。裏紙に35mmフィルムを風呂場で巻いた手製のバンタム判フィルムだが、その写りは期待を大きく上回った。

遊園地 お子さま機関車
色乗りも自然で しかも鮮やかである。デジタルのような派手さはないが、その分ナチュラルで嫌みがない。さすがエクターの面目躍如たるものがある。

ぶらんこ とんがり屋根の風景
爽やかな秋の空気を、そのまま写し取ったような、すっきりした描写である。これはもう手放せない。私の愛用カメラになりそうだ。

秋の善光寺 白川郷の秋
2011年(平成23年)は、AJCCの仲間との楽しい旅の思い出が増えた。このカメラは気難しいが、うまく撮れると素晴らしい描写をする。まだまだ使いこなせていないが、じっくりとつきあっていきたいカメラである。

ポニー828 (1949年)
Pony 828+Kodak Anaston 51mm F4.5
第2次大戦後、コダックはプラスチック製のポニーシリーズを展開するが、これはその最初のモデルで、1949年の発売である。このモデルだけが828フィルムを使い、他のポニーシリーズは全て135フィルムを使う。シャッターは1/200まであるKodak 200 Flash。レンズは沈胴式のコダック アナストン51mm、ひっぱり出して右に回転するとカチッと止まる。

コダックのバンタム判カメラは、バンタムシリーズやポニーシリーズの他、、英国コダックのカラースナップシリーズがある。

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日比谷公園にて 見返りネコ
初心者向けの簡易カメラであるが、写りは決して悪くない。曇り空だったので露出が不足気味だが、これはカメラのせいではない。

噴水1 噴水2
日が陰ってきたので、シャッタースピードを落として撮影した。今度は手ぶれだ。どうも使い手の腕に左右されるようだ。当たり前か。


フォタビット 828 (1947年)
Photavit(828)+Radionar 37.5mm F3.5
写真のカメラはドイツののフォタビットで、もともとボルタ判カメラの元祖的会社であるが、このカメラは828フィルムを使うモデルである。ただ裏窓が無く、自動巻留めであるし、画面も24×24のボルタ判なので、コダックのバンタムシリーズとはひと味違う。

手のひらにすっぽりと収まるほどに超小型機だが、レンズはシュナイダー・クロイツナッハのラジオナーだし、シャッターは1/500が切れるコンパーラピッドがついている。小型だからといって侮れない本格派なのである。
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蔵のある風景 小布施にて
AJCCの仲間と信濃路を旅した時のショットである。巻止めが効かず、手探りでの撮影だったから、写っているかどうか不安だったが、まあまあ、それなりに写っていた。旅から帰って、軍艦部を開けて巻止めを修理した。


コロネット カブ (1939年)
Coronet Cub
このカメラはイギリスのコロネット社が、1939年(昭和14年)に発売したベークライト製のカメラで、828フィルムを使い28×40のバンタム判の画面を写す。レンズは固定焦点、シャッターもエバーセットのシングルシャッターという簡易型カメラである。簡易型ではあるが、外観イメージはなかなか上品で、イギリスの品の良い紳士といった風情である。

沈胴式のレンズは、押し込んで右に回すとスプリングで勢いよく飛び出す。思わずびっくりする。写りはあまり期待しない方がよい。この時代は密着で見ていたのだから、この程度で十分だったのだろう。

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荒川電車 店頭マスコット


クラシックカメラの物語


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