クラシックカメラ銘々伝
日の丸コンタックス レチナ賛歌 愛しのコニレット 孤独なライカ テッシナの秘密 ミノックス秘話 ニコン神話  エクサクタ解体新書 
   


エクサクタ解体新書 可愛いエクサ

 
 Kine Exakta+Exaktar 54mm F3.5

21世紀の現代、35mm判高級カメラと言えば、一眼レフである。その35mm判一眼レフの元祖は、ドイツのイハゲー社が1936年(昭和11年)に世に送ったキネ・エクサクタと言われている。旧ソ連のスポルトがほんのわずかに早かったらしいが、その完成度、量産機数において、キネ・エクサクタは元祖の名にふさわしい。

見るからに古色蒼然たるカメラだ。全身に甲冑をまとったような面構えは、店頭に並んでいると他を圧倒するような存在感がある。エクサクタはこの初代から、1950年代に全盛を迎えるまで、基本的な使い方は変わっていない。ライカのように人に優しくない。きわめて使いにくい。ここではその偏屈ぶりを暴いて、気難しいエクサクタとのつきあい方を伝授していこうと思う。

 
スローシャッターのセット 

よく知られているように、エクサクタは左手で巻き上げ、シャッタースピードのセット、シャッターレリーズなどを行う。 たしかに使いにくいが、右と左の違いだけで、まあ誰でもすぐに使える。

問題なのはスローシャッターのセットの仕方だ。これはわかりにくい。30年以上にもわたって、この面倒くさいセット方法をユーザーに押しつけている神経には、いささか疑念を抱かざるを得ないのだが、今となってはそれがまた楽しいのだから、人間とは不思議なものだ。

1.左のシャッターをZ(T)かBに合わせてから、巻き上げる。 2.右のダイヤルを上に引き上げて時計回りにゼンマイを巻く。 
   
   
 3.ゼンマイを巻き上げたら希望のスピードに落とし込む。
黒数字はスローシャッター、赤数字はセルフタイマー
 

これでスロースピードのセットは終了だ。なんと12秒までセットされる。何のためにこんなスピードが必要だったのだろう。資料の複写か、顕微鏡写真のためだろうか。

セルフタイマーを使う場合は、通常スピードなら左のダイアルでセットして巻き上げ、右のダイアルを持ち上げてゼンマイを巻き、赤い数字に落とし込む。赤い数字はどこでも良い。スローの場合は上のスローシャッターのセットと同じようにして、黒ではなく赤い数字に合わせれば良い。

 
シャッターレリーズ 

さて、いざシャッターを切ろうとすると、シャッターが切れないことがある。 故障したかと慌てるのだが、これもエクサクタの気難しいところなのだ。

 シャッターカバー  レリーズ可  ウエストレベル
     
 
エクサクタのシャッターレリーズは、ボディー前面にある。レンズを付けずに持ち歩いた場合、うっかりシャッターが切れてしまうことがある。それを防ぐために、シャッターボタンをカバーする金具がついている。

まあ、これは誰でも気がつくが、初期モデルのウエストレベルファインダーの場合は、裏のボタンを押してファインダーを開かないと、シャッターが切れない。これは時々忘れてしまって慌てる時がある。


レンズの絞り 
 
 
Quinon Biotar Tessar Exaktar

エクサクタのレンズは進化している。右端は元祖キネ・エクサクタの標準レンズExaktar 54mm F3.5だ。絞りは完全マニュアル。解放でピントを合わせ、絞りを絞ってシャッターを切る。 その都度ファインダーから目を離さなければならない。

次はTessar 50mm F2.8。プリセット絞りだ。絞りの下のリングを押し下げて、希望の数値にセットすると、リングを回すだけで解放から、希望の絞りまで絞られて止まる。

次はBiotar 58mm F2で半自動絞りである。右に出ている突起を押すと、絞りが絞られてシャッターが切れる。ワンタッチで出来るので便利だが、シャッターを切った後、レンズ下のレバーで絞りを開放に戻さなければならない。

一番左のレンズは、シュタインハイルのAuto-Quinon 55mm F1.8である。完全自動絞りで、黒い突起の上の小さなレバーを左手で下に下げると、絞りが絞られて、シャッターが切れ、レバーを離すと解放に戻る。今なら電子制御でいとも簡単にやってしまうが、それをメカニカルに実現しているところが楽しい。おそろしく使いにくいが。(笑)


巻き戻し 

巻き戻しがエクサクタ特有で、知らないとまごつく。キネ・エクサクタは間違えようが無いが、問題はエクサクタVX、ヴァレックス系のモデルである。

 
 キネエクサクタの巻き戻しレバー  エクサクタVX系のボタン
   
形状は違うが、ここまでは迷う人は無いだろう。さて、巻き戻しのロックを解除したら、ボディーの底の巻き戻しノブで巻き戻すわけだが、キネ・エクサクタはハンドルがついているから、それをつまんで回すだけでよい。

さて問題のエクサクタ・ヴァレックスやVX系のモデルだが、巻き戻しノブらしきものを回しても空回りしてしまう。ノブの真ん中を押し込んで、パトローネに噛み合わさないと巻き戻せない。このクイズを解くのはかなり難しい。

 
 巻き戻しノブ  中央を押し込む
   

巻き戻しノブの左にある小さなノブ。間違っても引っ張ってはいけない。なんと中のフィルムがカットされてしまうのだ。未だフィルムが高価だった頃の痕跡だ。大事に使って、数枚写したら途中で切って現像していたらしい。
 
恐怖のフィルムカッター
 
 
 
Kine Exakta (1936年)
Kine Exakta+Exaktar 54mm F3.5 
キネエクサクタで写真を撮るのはかなり難しい。ウエストレベルファインダーは老眼の私には全く役に立たない。エクザクタールというレンズは暗くて、ルーペを下ろしてもピント合わせは至難の業だ。

巣鴨にて
巣鴨はAJCCの本拠地だ。良い雰囲気の高齢者をたくさん見かける。無限遠で絞りを絞ってスナップショット。

中山法華経寺
Exaktarというレンズはすばらしい描写をする。中山法華経寺は私の家の近所で、なかなか良い被写体がある。

ピント合わせは至難の業 
せっかくの一眼レフだ。ウエストレベルで頑張ってピント合わせに挑戦した。ピンぼけの山を作ったが、辛うじてこの2枚がまあまあものになった。

 
   
Exakta VX Ua  (1957年) 
 
 Exakta VX Ua+Auto-Quinon 55mm F1.9
2013年夏の高島屋中古カメラ市で思わず買ってしまったエクサクタ。どうも私はこのカメラに弱い。きれいな売りものを見ると、つい我慢が出来なくなってしまう。

このカメラが目についたのは、薄緑のリングが入った見慣れないレンズがついていたからだ。なんと完全自動絞りの、オート・キノンだ。ドイツの名門シュタインハイルの傑作レンズなのだ。 
(クリックすると大きくなります。) 
   
 ルドベッキア  桔梗
2013年は猛暑の8月だったが、処暑を過ぎると秋の花が咲き出す。いつもの江戸川河川敷で、秋を狙った。1フィートまで寄れるので、花の写真にはもってこいだ。
 
   
 コスモス  パンパスグラス
秋はやはりコスモスとススキだ。35度だといっても、風は間違いなく秋の風に変わっている。
 
   
 江戸川のほとり  江戸川
しかし、このレンズのシャッターレバーは非常に使いにくい。左手で慣れない動作だから、どうしてもカメラがぶれる。もともとエクサクタのボディーは、三角形のテーパーがあってつかみ難いし、撮り終わったらむしょうに肩が凝っていた。
 

可愛いエクサ 

東ドイツのイハゲー社がエクサクタの普及版としてエクサを発売したのは、1950年のことであった。エクサクタがファインダーを交換式にしたバレックスを出した年である。

大柄なエクサクタに比べてコンパクトでとてもかわいい。エクサクタの面影を残しながら、大変上手に小型化に成功している。左手で巻き上げる独特のエクサクタ式から、ごく普通の右手巻き上げになり、レバーからノブになっている。

シャッターが特異なミラーシャッターを採用しているのが、このカメラのおもしろいところである。B、25、50、100、150といたってシンプル。

Exa type1.3 (1952) と Exa type4 (1956)  
   
 Exa type1.3+Isconar50mm Exa type4+Biotar58mm 
エクサは発売以来、小刻みに改良を重ねているので、バリエーションは非常に多い。ただ1960年のtype5までと、それ以降のモデルとでは印象が全く違う。エクサクタもこの頃にデザインを大幅に変えて、「エクサクタの自殺」とまで酷評されたが、type6以降のエクサも同じように魅力がなくなってしまった。 
 
 エクサと交換ファインダー
エクサにはエクサクタの交換ファインダーが使える。ウエストレベルよりアイレベルのプリスム式の方が圧倒的に使いやすい。レンズも豊富なエクサクタ用のレンズが使える。しかし、シャッターレリーズを兼ねた絞りボタンを持つレンズならいいが、それ以外のレンズでウエストレベルファインダーだと、ファインダーが暗く、小さくてかなり使いにくい。 
(クリックすると大きくなります。)
縮む赤プリ 東京駅

 コルゲン蛙  ネコ

 Exa Rheinmetall (1954)
   
 EXA Rheinmetall+Tessar50mm
 珍しいエクサが手に入った。エクサクタ、エクサが好評でイハゲー社の工場では生産が追いつかず、ラインメタルという会社に生産を委託した。1954年から1年間だけ8,000台が作られたという。Exa type3とも呼ばれる。

ドイツから私のところに来たラインメタル製エクサは、トップカバーの飾り帯の黒塗装がない。こういう仕様なのか、塗装がはがれたのかはわからない。レンズはテッサーが付いてきた。

 (クリックすると大きくなります。)
   
神田藪蕎麦 いせ源
2013年2月、神田藪蕎麦が焼けた。2日後に行ってみた。入口から見る限りそれほどの損傷には見えないが。いせ源の店頭を見て、アンコウが食べたくなった。

 
 旧交通博物館 浅草にて
交通博物館の跡地には立派なビルが建っていた。

  
弁天小僧 雷門
このカメラは1/150秒も問題なく切れている。テッサーはさすがで、大変シャープでどれも良く写っていた。

 
 Exa Rheinmetall+Tessar 50mm
 その後、写真のカメラを手に入れた。これは黒帯が着いている。やはりこれが正しい姿だろう。アイレベルのファインダーを付けて試写に出かけた。レンズは同じテッサーである。

 (クリックすると大きくなります。)
   
 関山  関山
4月8日、良く晴れたので夫婦二人で新宿御苑。八重桜が満開だ。今年(2013年)は陽気がおかしく、桜が10日も早く咲いてしまったが、逆に花もちは良く、染井吉野の満開は1週間ぐらい楽しめた。

晴れた日が少なかったので、少しでも青空が見えると家を飛び出した。不思議な年であった。

 
   
 新宿御苑  中山法華経寺
このカメラは気分良く写真が撮れる。ただシャッターが150までなのが少しつらい。 NDフィルターを探さなければ。
   


クラシックカメラの物語


ご感想などお寄せください
Email komatsu@st.rim.or.jp